第29章 Happiness~櫻井×二宮~
さっとシャワーを済ませて、お互いに服を着た。
約束の2時間がもう直ぐ過ぎようとしている。
離れがたい...
もっと、一緒に居たいよ。
でも、引き留めちゃいけないんだろうか?
この後、別の客のところに行くんだろうか?
そんなの...
そんなの、嫌だ!
「延長...も、出来るんですけど...」
シャツのボタンを留めている俺に、かずが言った。
「えっ??ほんとに?」
「はい...でも、今日は、もう先約が...」
「そっか...」
やっぱりだ。
きっとその世界では人気者なんだろう。
だって、こんなに可愛いし、一度知ったら、もう他になんか...
何だか、胸が締め付けられるように苦しかった。
「翔さん...」
「...あ、何?」
「あの...」
口籠る姿がまた可愛らしくて...抱き締めたくなる。
「言って。何?お願い...かず!」
懇願する俺を、上目遣いで見つめて、
「...また、指名してくれますか?」
と言った。
なんだ...そんなことか...
さっきまであんなに大胆だったのに、そんなセリフを言うのに恥ずかしそうにするかずの、そのギャップが、もう愛しくて堪らない。
「勿論だよ!何時ならいい?明日?明後日?」
逸る俺に、にっこりほほ笑んだかずは、
「嬉しい...また翔さんに会いたいです...
えっと...明後日の10時なら...」
携帯で予定を確認して、嬉しそうに言った。
「じゃあ、明後日10時ね!2時間以上でもいいの?何なら、今から...」
だってホントは、朝まで一緒に居たい!
「...その日は、その後予定入れません...だから、延長じゃなくて大丈夫ですよ♪」
...でも...
会社にマージンを取られるんだろうけど...
だったら尚更、そんな訳には...