第27章 『番狂わせ狂詩曲』~大野×櫻井~
その後。
俺達は家族が帰ってこないことをいいことに、
智くんのたっての希望で、もう一回繋がった。
今度はさっきより痛くなくて...
少しだけ余裕が出来た俺たちは、キスをしながら今度も一緒に果てた...
こんな短い時間内の3回は、久しぶりだった。
俺達は何となく離れがたく、その夜は俺のベッドで一緒に寝ることにした。
「智くん家、誰もいないんでしょ?いいの~?留守番しなくって」
「いいって!泥棒なんか入ったって、盗るもんねーもん
...それより、翔くんと一緒に寝たい!
ねえ翔くん...手、繋いで寝ようよ...」
「え~?寝られないよ~そんなことしてたら...」
「いいじゃん!!」
智くんに強引に指を絡められたけど、俺はそれを振り解かなかった。
「おやすみ、翔くん❤」
「おやすみ...智くん...」
眠れないなんて思ったけど...
睡魔はちゃんとやって来た。
智くんの寝息を聞きながら、俺の意識も徐々に遠退いていった。
昨日の俺がこの状態を見たら、驚いて気を失うかもしれないな...
でも、俺...今凄く幸せで...
その幸せが、なんだかくすぐったかった...
翌日。
智くんは接待のゴルフがあるって、早々と目覚ましを掛け、バタバタ起きだした。
一応玄関まで見送りについてきた俺に、
「じゃ、またね!翔くん♪帰って来たら来るから...」
「うん...無理しなくていいよ...」
「いってきます!」
「いってらっしゃい...」
バタンと締まったドアが、直ぐに開いた。
「びっくりした~!!何?忘れ物~?」
「そ!大切なこと!」
首を傾げる俺に、智くんは、
「好きだよ、翔くん...」
そう言って背伸びしてキスをした。