第27章 『番狂わせ狂詩曲』~大野×櫻井~
不覚にも不意打ち食らって真っ赤になる俺を、
嬉しそうに見つめて、
「...ほんと、可愛い❤翔くんって」
と言った。
......可愛いってさ...
そんなこと言われて、どんなリアクション取ればいいんだよ、俺は...(*ノωノ)
手を振って、ウインクして、
名残惜しそうに智くんは出て行った。
今度は戻ってこなかった。
そう言えば...好きって...
今はじめて言われた...
夕べのことが、次々浮かんできて、俺はまた、顔が熱くなる...
これから、俺達はどこへ行くのかな~?
考えたって分かんない...
でも取りあえず、帰って来たらまた来るって...
そう言って出掛けていった彼のことを、期待しないで待ってみようか...
部屋に戻った俺は、昨日智くんが何度か開けた、机の2番目の引き出しじゃなくて、
その上の引き出しを開け、中から木の小箱を取り出した。
鍵付きの蓋を開けたその中には、
智くんの写真がたくさん入っていた。
小さい頃からの、色んな智くんと、俺...
泣いたり、笑ったり...
幼いあの日が、蘇る...
その中の1枚を手に取った。
4歳の俺達...
智くんが俺の両頬を持って、唇をくっつけている写真...
親が面白がって撮ったやつ...
もうずっと昔に封印した、
俺の気持ち...
...開けても、いいのかな?
.......好きだったんだよ、ホントは。
智くんだけが。子どもながらに...
誰にも言えなくて、頭がおかしいって思って...
写真と一緒に封印した。
......さとしくん、また君に会えるなんて、
思ってなかったよ...
写真の中で、天使みたいに笑うさとしくんに、
俺はそっと呟いた。
「...さとしくん...だいすきだよ...」
【 END 】