第27章 『番狂わせ狂詩曲』~大野×櫻井~
気まずいなんて言葉じゃ、物足りない...
こんな時は、何て言えばいいんだ?
見つめ合ったまま何も言えない俺に、
「あ、ごめん...続けて~」
と、智くんはドアを閉めた。
『はいどうも、なら、早速..』
って!!
続けられる訳ないだろう~!?
一気に萎えてく俺のとは裏腹に、お姉さんは男優さんの腹の上で、くねくね踊っていた...
急に登場した彼は、俺の幼馴染で、隣に住む『大野智』
俺たちは生まれた時からの付き合いで、
今回みたいに、勝手に...まあ、一応玄関で
『こんにちは~、お邪魔します』くらいは言うけど。
部屋まで上がっていく仲。
お互いが居なくても、そのままそこでくつろいだり、昼寝して待ってることもあるほどの...
所謂、兄弟みたいな、いや、それ以上の付き合いなのだ。
そんな『兄弟以上』の智くんでも、流石にそう言う場面は見られたことはなく...勿論、見たこともなく。
智くんが帰った部屋で、俺は一人がっくりと肩を落としてため息をついた。
迂闊だった...
両親が出掛けて、弟妹がいないとしても、
もう一人、この部屋を勝手に訪問する可能性のある男がいたことを...
うっかり忘れていた...(-ω-)/
明日の朝、通勤で一緒になるかもしれない...
どんな顔すればいいんだよ///
なんて言い訳すれば...
......いや待て。
言い訳することなんか、ないだろう~?
健康な男子なら、誰でもしてることだ。
そうだよ!
智くんだって、部屋で一人でシテるだろう...
別に恥じることでもない...
生理現象の一つじゃないか。
...そうだよ。気にしなければいいんだ!!
明日会っても、普通に『おはよ』
これでいい...
俺はそう自分に言い聞かせた。