第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
そしてその帰り道。
俺は翔くんと並んで歩いていた。
もう何から話したらいいのか分かんないよ...
あ、そう言えば...
「後夜祭が終わったときさ、校舎の入り口で雅紀に会ったよ~」
「ああ、何か言ってた?」
「うん...良かったですね!って...すごい嬉しそうに笑ってた」
翔くんが言うのには、
ずっと俺とのことを後輩の雅紀に相談してたんだって。
雅紀は翔くんと居る時や、みんなといる時の、俺の反応を見て、翔くんに報告してくれてたんだって。
『きっと、大野さん、櫻井さんのこと好きですって!!自信もって大丈夫です』
そう励ましてくれていたらしく...
だからいつも、俺のこと見てたんだ...
俺には、翔くんのことが好きで、だから同じ立場の俺を睨んでるんだとばっかり...
「な~んだ...そうだったんだ...」
ほっとして笑う俺に、
「さっき俺にも、おめでとう!のLINEが入ってたよ...1回ラーメン奢ればいいってさ...智くんも行こうな!」
「うん...」
それと。
どしても気になっていたこと。
「生田のことは...」
すると今度は翔くん、少しだけ眉を顰めて、
「生田は、好きだって言ってくれてたんだ、俺のこと。でも俺は、智くんが好きだから、付き合えないって、そう言った...
それでも、何度も、自分じゃダメかって?
諦めきれないんだって...」
それで、酷いようだけど、告白ステージを見せて、諦めてもらおうとした、と...
「じゃあ、今日の告白は生田に見せるためなの?」
「ち、違うって!何かさ、好きだって態度しても、なかなか分かって貰えなくて...
部活もあるし、恥ずかしいから言えなくて...切っ掛けが欲しかったんだよ...」
翔くんはそう言って頭をポリポリした。