第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
俺を見つめる大きな目。
この、ドングリみたいな黒い瞳が大好きだった...
「智くん...いつも、マネージャーとして、人が嫌がる仕事も一生懸命にやってくれて、ありがとう。
ずっと感謝していました。
俺達3年生が、今までやってこれたのも、智くんがいたからです...
...これからは...俺だけのマネージャーになってください!!
大好きです!!付き合ってください!!」
......再び静まる会場。
差し出された、翔くんの大きな手...
嘘だよ...そんなの...どうして??
そんなこと...そんな夢みたいなこと//////
「さあ~、大野さんの答えは~??」
司会の人が、俺にマイクを向けた。
...答えって...そんなの、言わなくたって決まってるよ...決まってるけど...
そんなことが、あるなんて...
声を出そうとしたら、涙で喉が詰まって、言葉が出ない...
俺は堪らずその場にしゃがみ込んで泣き崩れた。
「大野さん?イエスか?ノーか?...大野さん!?」
翔くんに手を引かれ、ゆっくり立ち上がった俺は、マイクに向かってやっと言った。
「こちら..こそ..お願いします..」
大絶叫の会場。
翔くんは『ヤッター』と俺を抱き締めた。
俺は、翔くんの腕の中で、夢ならこのまま、死んでもいいと、そう思っていた。
やがて、会場の大絶叫は『キッス、キッス』のコールに変わっていく。
収まらないコールの中、翔くんは、背中に掛けていたしょくぱんまんのお面で口元を隠し、俺の唇に、ほんの1瞬、自分のを重ねた。
ブーイングが巻き起こる会場に向かって、
「この続きは、ふたりでこっそりやらせてくれ!!」
と言い放った。
興奮冷めやらぬ中、俺は翔くんの胸に顔を埋めて、ワーワー泣いた。