第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
「さあ、ここでサッカー部のエースが~、ステージに出てきたということは~!!!」
『こっくはく!こっくはく!』湧くギャラリー。あまりの騒ぎに、マイクの声さえも搔き消される。
「告白したい人がいる、ということでいいんですね~??」
盛り上げる司会者に、翔くんははっきりと、
「そうです!」と言った。
「では~、その人にステージ上に来ていただきましょう!!では、その人の名前は~??」
ふうっ~...大きく深呼吸した翔くんは、
「俺が告白したいのは...3年A組の大野智くんです!」
一瞬...時間にしたらきっと、0.5秒くらいなもんだろう。会場は水を打ったように静まり返り、続いて怒涛のような大歓声が沸き上がった。
「大野!!」
「大野!!!」
「大野!お前や!!はよ、行かんと///」
.........何が起こったのか分からない。
ただ、ステージの上から、翔くんが俺のことをじっと見ていて、
『おいで』って目で言ってる。
「3年A組、大野智くん!ステージに来てくださ~い!」
......大野智くんって...誰だ!?
思考が戻らないまま、俺は村上たちにステージ上に押し上げられた。
そして連れて来られた、スポットライトの中...
翔くんの前。
...うそ...嘘だ..そんなことがある訳ない...
目の前の翔くんは、少し困ったような、試合前でも見せないような緊張した顔をして俺を見つめてた。
「さあぁ~、告白前から見つめ合っていますが~!
櫻井くん、ここはバシッと、決めてください!
はい、それでは、どうぞ~!!」
翔くんはマイクを受け取り、肩を大きく2回上げ下げした。フリーキックを蹴る前の、翔くんのルーティーンだ。