第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
くっ付いたり、振られたり...
ステージは大盛り上がりで進んでいく。
中には、OKになり、会場からの『キッスコール』に、照れながらも応える奴らもいて...
野郎どもの、黄色い歓声は、正直煩いだけだ。
俺の周りの奴らも、大騒ぎしてヤジを飛ばしていたけど、俺はもう、それさえ耳に入らなくなっていた。
『現実逃避』って、こういうことを言うのかな~?
あまりに辛いことが起きると、人は自分の殻を作り、その中に閉じこもり、出来るだけ、傷つかないようにするんだ...
俺って、そんな器用なこともできたんだ...
『さあ~、それではこれで、実行委員企画、後夜祭の≪告白ステージ≫は終了となります』
「ちょっ~と、待った!!!!」
みんなの視線が一斉に後方に向けられた。
でも俺は、殻に閉じこもてるから、聞こえないし、
見えないし...あわわわわわわ///
注:耳を塞いで、声を出しています。
さっきはなかったような、大きなどよめきの渦が会場を包んでも、ステージが大騒ぎになっていても、俺はじっと俯いたまま、地面の小石を見つめていた。
「櫻井や!!大野、ほら見てみい、櫻井の告白はほんまやったんや!!」
興奮した横山に言われ、俺はゆっくりと顔を上げた。
......翔くん...
スポットライトの当たったステージ中央、頭を掻きながらはにかむ、翔くんの姿が...
俺はもう、瞬きもしないで、翔くんのことを見つめた。
心の中は『無』の状態で、恐怖も悲しみも感じない...
只そこに、大好きな翔くんがいる...
みんなの前で、照れくさそうに可愛い笑顔で笑ってる...
それだけが全てで...
それだけで俺はもう、涙が溢れそうだった。
翔くん...
しょうくん......
ショウ...クン......