第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
「あのさ...後夜祭、でるよな?」
「うん...」
「じゃあ、出れば、分かるよ...」
翔くんが急いでそう言って、ふたりの足音は遠ざかっていった。
ドキドキが、最大級になって...
もう、どうにかなりそうだよ///
今なんて言った??
翔くんは、生田に、何て答えてた?
『後夜祭に出ろ』
翔くん、そう言ったよね?
俺の記憶の中にある、翔くんの後夜祭情報...
それは。
『櫻井、後夜祭の≪告白ステージ≫飛び入りで出るって...生田に告るって...』
そう言ったよな?
自慢げに、いいこと聞いたみたいに、村上、確かにそう言ってたよな??
......辻褄、合っちゃうじゃん!!
さっき翔くんは、返事は後夜祭で言うって。
生田にそう言ってた...
↑耳塞いでないで、ちゃんと聞いてたらしい///
もう...決定だ。
翔くんは、この後の後夜祭で、生田に告白する。
.........
少し灯った希望の火は、あっという間に鎮火した。
ずっと...
1年生の時からずっと、翔くんのこと好きで、秘かに思ってて。
もう最後だからって、勇気を振り絞って『ミサンガ交換して』って言って。
交換してもらって舞い上がってたのに...
......ダメだ。
もう、俺...泣きそうだ...
でも、こんなところで泣く訳に行かないし。
そうだ!家に帰ろう...
色んな事途中だし、放り出して無責任だけど。
神様だって、きっと許してくれるよ。
ふらふらと、廊下の壁に手を付いて歩きだした俺に、後ろから、村上が声を掛けてきた。
「大野!大丈夫か~?腹が痛いんやってな~」
そう言って俺の顔を覗き込んできた村上は、
「なんや!泣いてるんか?そんなに痛いんか~?」
「あ、いや、そんなに...」
「保健室に行って横になった方がええって。ほら、掴まり!」