第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
どうしたのかと、周りが見守る中、
お面のコーナーから、赤いお面を持ってきて、俺の頭に乗せた。
そして、再びステージに飛び乗ったその瞬間、
俺の両肩を引き寄せ、自分のしょくぱんマンと、
俺の赤いお面をずらして被せ、
そのお面越しに、キスをした。
「何やそれ~?」
「そんなん、反則やん!」
村上たちがやじる中、翔くんは俺のお面を頭の上にあげ、俺に向かって微笑んだ。
...翔くん...
「それ、智くんにあげるよ」
小声でそう言った翔くんは、俺に向かってウインクした。
......跳ね上がる心臓を押さえて、
「ありがと..」
と言った。
それから、自分のクラスに戻った俺は、迷路に入る準備をした。
変な衣装、作ったやつらに言わせると、
『神父』なんだそうだ。
迷える子羊を救うのは、神父なんだと。
...全く、そんな発想しかないのかよ~?って思うけど、仕方なくそれを着て、持ち場に行った。
狭い通路の突き当り。
四角い小窓の中に座り、さっきのことを思い出した。
......何だったんだろ~?
翔くん...どういうつもりだったの?
お面被って...翔くんの顔も見えないし。
まあ、みんなの前だし...
恥ずかしかったから、良かったんだけど。
でも、俺とはキスしたくないって...
そういう事、なんだよね~...?
色んな気持ちが胸の中でざわざわしてて...
こんなところに閉じ込められたけど、
もうさ。
人の人生相談なんかしてる場合じゃないっつ~の///
俺が誰か信用できる人に、相談したいくらいだよ!
そんな俺の気持ちなんかお構いなしに、迷路に入った人が俺の前にやって来る。
持ち時間は約1分。
1人ずつで、終ったら、係に合図して次の人が来る手筈になっていた。