第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
横山はそのことに驚いていたみたいだけど。
俺は、そんな話を聞かされて、後夜祭を欠席したいどころか、もう、いっそのこと転校したい気分になっていた。
ずっと想い続けた人には好きな人がいて。
それを知らないで、ミサンガ交換を申し出て。
それをOKしてもらったからって、舞い上がって...
...俺さ、これじゃ、単なるバカで独りよがりの可哀想なヤツじゃん...
今年の俺のクラスの展示は『人生迷路』
段ボールと机の壁を迷路にして、その帰路に人生相談を受け、その先の進む道を決めていく...というもの。
準備はまあ、段取り通りに順調で。
「大野は?いつ当番?」
「俺は明日の2時から3時...まじ、だり~よ...」
「大野の人生相談って、ある意味レアやわ~。何答えるんやろな~?別の意味で興味あるわ~」
「うるせぇ~...」
村上に揶揄われて、
そんなこと言われなくたって、俺だってやりたくないよ~、と思う。
こんな俺が、人の相談なんかできる訳ない...
嫌だって言ったんだけどさ。
遊びだから変な答えでもいいんだって...
ルーム長の山下に言われて、渋々当番に入ったけど...やっぱりやりたくないよ~(-"-)
その日は遅くまで準備をしていて、帰りは9時を過ぎていた。
くたくたになって、横山たちとラーメンを食べに行くと、先客に翔くんがクラスの友達たちといた。
「あ...」
「智くん!」
翔くんは嬉しそうに俺に向かって手を挙げた。
俺もつられてにっこりしたけど、
翔くんの奥に寄り添うように座っている生田を見つけて、一気に浮上しかけた気持ちが、地底まで沈んだ。
「準備できた~?」
「ばっちりや~!」
「じゃあ、俺も空いた時間に行こうかな~、そっちも」
翔くんは、そう言いながら、俺のことをチラッと見た。
俺は、今更だけど、ドキッとした。