第4章 『Crime and Punishment』 ~?×?~
本当に好きなのは、
弟の雅紀だって、
俺が本当に欲しいのは、
同じ家に住む、雅紀なんだって...
もう気付いてしまっていた。
でも、どうすることもできなくて...
潤の気持ちを、
利用し続けたのかもしれない...
「母さん...今日さぁ、友達ん家、泊まる..」
「潤くん??」
「うん...」
「そう...潤くん、この頃家に来ないじゃない~?
たまには、母さんも会いたいな~」
「はははっ、言っとくよ」
「......」
こんな会話の間も、雅紀は俯いて、
何も言わなかった...
その丸まった背中に、言ってやりたかった。
『俺と潤の間に、お前の入る隙は、
ないんだよ』ってね...
俺たちのこと...
潤のこと、遠ざけようと。
潤のこと必死で忘れようとしている雅紀が、
憎らしかった...
......雅紀、俺を見ろよ...
潤じゃない...
俺のこと、見るんだよ...
もう自分で自分が分からなくなってて、
どうしたいのか...
どうしようとしているのか...
深い迷路に迷い込んだみたいで...
出口のない、
答えのない...深い迷路に...
そんな中...
あの事故は、起こってしまった。
俺の罪を裁くように、
俺の過ちを、もう止めるために...
全てが、あの場所の、あの一瞬に向かって、
流れ出していた...
もう誰にも、止めることができない...
あの時に...