第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
「ミサンガ、交換して欲しいって、そう言えばどうですか?」
...ミサンガ...
この学校はいつからか、文化祭で好きな人とミサンガを交換するって言うことになっていて。
生徒会公認のこの企画は、執行部が各クラスに糸を配り、全員が作ることになっていた。
糸の色は学年、クラスごとにカラーが決まっていて、パッと見ただけで、何年何組のヤツと交換したのかが一目瞭然となっていた。
勿論、それを作るための講習会も開かれていた。
「まずはさ、『ミサンガ交換しよう』って、そう言ったらどう?」
「どうって...」
「俺、絶対上手くいくと思うんだけどな~...翔さん、智さんのこと、好きだって...」
「そ、そうかな~...」
「自信もって!!」
「ニノ~!帰ろ~!」
「あ、う~ん❤じゃ、お先に~...直接言えないなら、今晩LINEしてみれば~?」
「今晩...?」
「じゃあ、明日結果聞かせてね~!」
そう言いながら、ニノは潤の方へ駆けて行った。
「簡単に言うなよ~...」
俺はそう独り言を言った。
部室の掃除を簡単にしてから帰ろうと思ってると、そこに翔くんが戻ってきた。
「どこ行ってたの?」
「あ、智くんまだ居たんだ~?先生のとこに行ってたんだ。帰ろうぜ!」
「うん!」
すると、翔くんから遅れて雅紀が入ってきて、
「急いでシャワーしていきましょ!翔さん!」
「おう!智くん待っててね」
シャワールームに二人で入っていった。
...なんだ、雅紀も一緒だったのか...
俺にとって、翔くんはこんなに特別なのに、
翔くんには、俺は部活のマネージャーでしかない。
そんなこと分かってたけど...
分かってるけど...
俺は二人が出てくる前に、部室を出た。