第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
その日から、俺と『櫻井翔くん』は、同じ部活の一員として、一気に親しくなった。
でも、親しくはなれたけど、それ以上の関係にはなれなくて...
友達は、告白しろと言うけど、そんな勇気はどこにもなくて...
俺は翔くんを見つめているしかなかったんだ。
そんなことをしている間に、俺と翔くんは3年生になっていた。
「智く~ん、これ洗っといて!」
翔くんが俺に向かってタオルを投げてよこした。
「わかった~!」
受け取ったタオルを無意識に抱き締める。
...翔くんの匂いだ...
「あ~あ、何やってんですかね~...今時、秘めた恋なんて、そんなの流行んないから...」
2個下のニノが、独り言みたいに言う。
ニノは1年生のマネージャーで、同じ学年の潤と付き合ってる。
ちゃんと彼氏がいるからってさ...余裕な上からの発言が生意気なんだよね...(-"-)
ジロリとニノを睨むと、彼は顎で、グランドの翔くんを指した。
ユニフォームで顔の汗を拭う翔くんの腹筋を触る雅紀。それを避けて笑う翔くん。
雅紀は2年生。
中学から翔くんとは一緒で、彼を追いかけてこの学校に来たって、本人も言ってた。
...仲良くじゃれている二人を、じっと見つめる俺の口は無意識に尖ってて。
「雅紀さんも、翔さん狙ってんのかぁ~?」
「...うるさい..」
お前に言われなくたって、分かってるよ...
翔くんに、思いを打ち明けたいよ~?
でも、もしダメだった時のことを考えると...
勇気が出ないんだよ...
「あの人さ、あんな気遣いできるくせに、そういう事にはマジで疎いから...言わないと気づきませんよ~...」
「....」
ニノは、ぐっと俺に身体を寄せて、ワザとらしく声をひそめて言った。