第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
夜。翔くんからLINEがきた。
『なんで先に帰っちゃったの?』
「ごめん、急用を思い出して」
『そっか、また今度な』
翔くん、あのさ
そこまで打って、手が止まる。
...どうしよう...
言ってみようかな?でも、もう交換する人、決まってるとか言われたら...
...勇気が出ない...
携帯握りしめて、暫く考えてたけど。
「よかったら、ミサンガ交換しよ」
と打って、勢いで送ってしまった。
どうしよう...
翔くん、なんて思ったかな??
迷惑だったら、どうしよう??
困らせちゃったら、どうしよう...?
.........
......
...
... ...
待ってても、レスはなかった。
絶望のフラグが立った。
言わなきゃよかった!
黙ってればよかったのに///
明日、どんな顔して会ったらいいんだよ~?
俺は、その夜、布団を被って寝た。
......消えてしまいたい///
翌日の放課後。
それでも行かない訳にはいかないから、重い足を引き摺るように部室に向かった。
...翔くんに会ったら、『あれさ、気にしないで?冗談だから』って、そう言おうか?
それとも、知らん顔して普通にしてようか?
あれこれ考えながら、洗濯物を干していると、
「智くん...」
翔くんが声を掛けてきた。
飛び上がるほど驚いて振り返ると、そこには、少し困った顔をした翔くんが...
「...しょう..くん」
「あの、ミサンガの...」
「うん...」
「ちょっと、考えさせて?」
「あ、うん、もちろん!いいよ~」
「ごめんね...」
頭を掻く翔くんに、俺は精一杯明るく言った。
「何で、ごめんなんだよ~!もう、忘れていいから~」
「いや...考えるから、ちゃんと」
翔くんは、そう言うと、練習に行ってしまった。