第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
色んな部活の先輩たちが、それぞれ趣向を凝らした部活紹介をしていく。
でも俺は、隣に座る綺麗な人のことで頭がいっぱいになって...
説明の声が全く入ってこない。
もしかして、俺...この人に...
そう思った、その時。
『行くぞ、櫻井!!リフティング!!』
ステージの上の先輩は、俺の隣の人に突然サッカーボールを蹴ってきた。
櫻井と呼ばれた彼は、弾かれたように立ち上がって、飛んできたボールを頭で受け止め、それをそのまま足で斬り始めた。
......す、凄い...
講堂にいる全員の目が、彼に集中している。
その中で、彼は、見事な脚さばきでボールを操り、
最後にはそのボールを高く蹴り上げ、ステージの先輩に戻して見せた。
『お~~...』
会場に、どよめきの渦が広がった。
「はい!こんな風に、サッカー部に入れば、彼のようになれることも可能だ!
あ、ちなみに、1年生の櫻井も入部するから!」
「せんぱ~い、俺、まだ入るなんて言ってませんけど~?」
のんびりした彼の声に、会場にはドッと笑いがおきた。
その後、ステージは次の部活に移っていき、
櫻井と呼ばれた彼も、微笑みながらステージを見ている。
......俺は、この日初めて会った、この櫻井という、サッカーがめちゃくちゃ上手くて、昔、ねえちゃんの絵本に出て来た昔話の王子さまみたいな少年に、一目惚れした。
『サッカー部か~...俺には向いてないだろうけど...どうしたら...』
「マネージャーも随時募集していまぁ~す!」
ステージ上のバスケ部の先輩の声が聞こえた。
マネージャー...??
それなら俺にもできるかもしれない...
その翌日。
俺はサッカー部に入部届を提出した。
『櫻井くん』に近付くために...