第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
翔くんは1年生の時からレギュラーだった。
俺たちの高校の弱小サッカー部に、神が入部したって、最初っから彼は注目の的だった。
中学の時から、地域で頭角を現していた彼は、当然サッカー推薦で強豪校に行くんだと、誰もが思っていた。
そんな有名人の翔くんが、俺と同じ高校に来た。
それだけでも奇跡だけど...
俺は、迷わずサッカー部のマネージャーになった。
美術部の先輩から強く誘われていたけど、
それを断って、翔くんのいるサッカー部に入部したんだ。
それというのも。
俺は入学式の翌日、初めて翔くんに出会った。
その日は、部活のオリエンテーションがあって、講堂に集合することになっていた。
その前に少し腹が痛くてトイレに籠ってたから、クラスの仲間から置いていかれ、俺はもう校内で迷子だった。
「講堂...?どこだっけ?体育館じゃないんだよな~...もう、止めて帰っちゃおっかな~...」
うろうろしていると、廊下の角で、人とぶつかりそうになった。
「危ないっ///」
「あ、すみません...」
バランスを崩した俺の身体をその人はパッと抱きかかえてくれた。
「大丈夫~?ごめんね...」
見上げたその人は...
......なんて、綺麗な目をしてるんだろ?
この人...誰?
この学校の人...だよな...?
「君も部活のオリエンテーションに行くの~?俺もだよ。一緒に行こっか」
「あ、はい!!行きます、一緒に!!」
「ふふっ、面白いやつ...行くぞ。」
その人は俺の手首を掴んだ。
誰もいない廊下を、手を引かれて歩く俺...
何だか、胸が苦しくて...
変な感じがする。
何だろう??
どうしたんだろう、俺って...
俺とその人は、そっと講堂に滑り込んだんだ。