第26章 『炭酸みたいな恋をしよう!』~櫻井×大野~
【 智side 】
「お疲れさまでした!!」
「ああ、お疲れ様~。気を付けて帰ってね~」
練習終わり、片付けて帰って行く後輩たちの背中を見送った俺は、もう一度グランドに戻っていった。
そこには...
ひとり残ってシュート練習をする人が...
夕陽が...そのシルエットをはっきりと切り取る。
...なんて、綺麗なんだろう...
「しょうく~ん!もう帰ろうよ~!」
そのシルエットに声を掛けると、それは立ち止まって俺の方を見た。
「さとしくん...待っててくれたの~?」
そう言いながら駆け寄って来る。
俺の前まで来て立ち止まる彼の綺麗な笑顔は、夕陽に照らされてオレンジ色に染まってる...
「ありがと。マックおごるよ!片付けるから待っててね...」
「やった~♪俺も手伝うよ!」
俺達は一緒に、散らばったサッカーボールを片付けた。
「頑張ってるね!」
「当たり前だろ~?地区大会まで、あと1か月だもん!絶対に県大会に行くんだ!」
「行けるよ、きっと...」
翔くんはサッカー部のキャプテンで、俺はマネージャー。もう3年生だから、負けてしまったら、即引退なんだ。
「急いでシャワーするから、待ってて!」
言うが早いか、翔くんはTシャツを脱いだ。
不意に現れた均整の取れた綺麗な上半身に、
俺は慌てて後ろを向いた。
翔くんは、そんなの全然気にしないで、シャワールームに消えていった。
......ドキドキする...
静まれ!!心臓!
俺は、火照る頬を両手で包んでぎゅっと目を閉じた。
そう。
俺は、翔くんが好きなんだ。
1年の初めから...
初めて出逢った時から、ずっと翔くんに恋してるんだ...