第25章 『シノビノニノ』~大野×二宮~
【 智side 】
「さと...俺...」
俺はかずをそっと抱き締めた。
......VSの収録中。
翔くんに助けを求めたのはホントだよ?
手に落ちてきたタコの感触が、もう本当に気持ち悪くって。何とかして欲しくって。
無意識に翔くんを見てた。
だって、彼ならきっと、俺のこと助けてくれる...
そう思ったんだ...
でもさ。
翔くんの目は『頑張れ』って...そう言ってた。
智くんなら出来るよ?やり切れ!!
俺からの、SOSの眼差しを受け取った翔くんは、腕組みして薄っすら笑ってた...
...そして。
そんな翔くんのことが、今も好きだ。
俺の中では、翔くんは最強だ。
かずが不安に思うのも無理もない...
だって、俺はまだ、翔くんが好きだから。
違う言い方をすれば...そう。
『翔くんへの気持ちはもう、俺の一部』なんだ。
愛を囁くのはかずだし、愛し合うのも、抱き合うのもかずだけど。
俺の中の、一番奥のところで、翔くんを好きな気持ちは今も大切にしまってあるんだ。
これは、誰にも言ってないし、誰にも知られちゃいけない...
だって。
俺はかずと恋人同士なんだから...
それはきっと、これからも変わらないんだ...
俺はこの先も、この胸の奥の秘めた思いは、隠し続けるつもりだ...
誰にも気づかれないように...
ただ一人......
そんな俺の気持ちを知ってる人以外には...
『櫻井翔』あなた以外は....
「かず...今日は一緒にお風呂にはいろっか?」
「...うん...入る..」
かずをきつく抱き締める俺の目は、
リビングの本棚...
この間のワクワク学校の時の時の写真を見つめてた。
先生のジャージを着て、仲良く並んだ俺達5人...
その中の一人...
『櫻井翔』に心の中で呟いた。
『好きだよ...翔くん...』
《 END 》