第25章 『シノビノニノ』~大野×二宮~
「前から、ずっと言おうと思ってたんだけどさ、翔くんのこと...」
「......」
何?
何をいうつもりなの?
俺の聞きたくないことなら、そうなら...
「俺さ、大分前だけどね。えっと、
まだ、かずと付き合うようになって半年くらいの時。
まだ、周りのみんなに内緒の関係だったときね~?」
始めは俺が言わないでいようって、そう言ってたんだ。
知られたくなかった...
翔ちゃんに。
「その頃さ、翔くんに『付き合ってみる?』って、そう言われたんだ~」
「う、嘘だろ?」
そんなこと、ちっとも知らなかった...
まさか、最強にして最大のライバルが、智に手を出しかけてたなんて///
「ホントだよ~?でも俺、もうかずと付き合ってたし...
翔ちゃんのことは大好きだったけど...
でも、俺にはかずがいるから。ちゃんと断ったんだよ...」
......まさか??
「じゃあ、なんで、俺にさ、そう話してくれなかったの...?」
「だって、かず心配するかな?って思ったんだもん...」
「さと...」
「俺はもう、かずだけだよ~?他の人なんか好きになんない...たとえそれが翔ちゃんでもね。
いつもさ、そう言ってるじゃん...かずを愛してるって...」
智はそう言い切って、ふんわり笑った。
......何だよ...俺はずっと、
見えないどころか、存在しない敵の存在に怯えていたのか?
何だか、身体の力が抜けて、俺はその場にしゃがみ込んだ。
俺が思ってるよりもずっと...
智は、ちゃんと俺のこと思ってくれてた。
俺がいちいちやきもち妬かなくたって、
心配しなくたって...
智は、俺を、ちゃんと好きでいてくれたんだ...