第25章 『シノビノニノ』~大野×二宮~
【 ニノside 】
さっきまでの余裕の顔はどこへやら。
マジかよ...嘘でしょ?
大野さんは、正座したまま、肩を震わせて泣き出した。
「...うっく..うっ..えっ、えっ..」
ちょ、ちょっと~、泣かなくっても...
「ねえ、大野さん、泣くなよ。
何で泣くんだよ...泣きたいのは俺の方なのに...」
「だってさ..俺、こんなだから、いつもニノに、悲しい顔させちゃって...なのに..何がいけなかったのか...分かんなくって...もうどうしたら..いいか...」
薬が効き過ぎちゃったのかな?
俺は、泣いてる大野さんが、もう可哀想になっちゃって...
思わず、その頭を引き寄せて抱き締めた。
「泣くなよ...分かったから...もう無視しないし、ちゃんと話すからさ...」
「...ホントに~?」
「うん、ホントに。だから、泣かないよね?」
「...うん..もう、泣かない...」
大野さんは、手の甲で涙を拭っている。
.....俺の記憶に間違いがなければ、
この人確か、36歳だよな?
四捨五入すると、もう40...
↑やめてあげてー!それ以上は...
何かさ。
今度だけは、絶対許さないって、
今までの中で、一番っつーくらいに、頭に来てたけど。
考えてみたら、こんなに腹が立ってるのも、
この人のことが好き、だからだし。
こんな意地悪してて、大野さんに、
『侑李の方が優しいから、そっちと付き合う』
何て言われたら、
それこそ、取り返しがつかない...
俺の方が、あいつより少しだけ可愛い、とは思うけど~?
何しろ、あっちには、若さがある...
それだけは、どうしても叶いっこない...し。
「大野さん、はい、これ」
俺はティッシュの箱を差し出した。