第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
熱さで陽炎が立ち上るその道の先。
じっと見つめるその門は、
予定より5分早く開いた。
見送りに出て来た人と一言二言言葉を交わし、
深々と頭を下げて、その人はゆっくりと振り返った。
白いYシャツに紺のズボン。
小さな鞄を手に、こちらに向かって歩いてきた。
.........
......何度夢見ただろう。
...会いたかった...
会いたくて、会いたくて...
ただ、会いたくて...
「翔...」
その人が少し笑って俺に近付いて来る。
変わらない笑顔...
髪が短くなってる...
相変わらず細身ですらっと長い手足...
......だんだん、見えなくなっていく。
しっかり見ていたいのに。
夢にまで見たその姿を、脳裏に焼き付けたいのに。
涙で。
後から後から溢れてくる涙で...
...雅紀が、見えない。
「翔」
俺の前まで来て、伸ばされた手に、俺は迷わず飛び込んだ。
「雅紀...雅紀....雅紀..」
彼の真っ白なシャツが、俺の涙を含んで透ける。
「翔...待たせてごめん...」
「......うっ...うぐっ...」
「泣くなよ~...顔見せて?背が伸びたな...翔...」
言葉が出ない俺の背中を、雅紀が何度も撫でている。
変わらない大きな手...
優しくて、安心する、大好きな手...
いつまでも、雅紀の胸に顔を埋めて泣いている俺の頬を、両手で挟んで覗き込む雅紀。
「ひでぇ~顔だな...」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃな俺は、
やっとの思いで、
ひとことだけ絞り出した。
「...雅紀...あい、してる...」
目の前の愛しい人が、大きく頷いた。