第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
俺はぎゅっと目を瞑ってから、
再び宣誓を読んだ。
この後、長野さんが俺への質問を始める手筈になっている。でも、その前に、長野さんは雅紀に向かって言った。
「相葉さん、翔くんは勇気を持って、この場に来るために今朝、新幹線で出て来たんです。
どうか、翔くんの気持ちを汲んでほしい...
翔くんがどんな気持ちでここに居るのか、相葉さんにはしっかり聞いて、見届ける義務がある...そうでしょう?」
雅紀は黙ってる。
長野さんは深く頷いて、俺の方を向き直った。
後は、段取り通り。
俺は、全て話した。
なぜ、家を飛び出したのか?
飛び出す前の家の中で、何が行われていたのか。
そして、なぜ帰りたくなかったのか?
雅紀の家ではどんな風に過ごしていたのか?
雅紀は、いつ帰ってもいいと、そう言ってくれていた...帰らなかったのは...
雅紀といたのは、自分の意思なんだと...
......
「相葉さんがあなたと身体の関係を持ったとき、あなたが18歳未満だということを承知の上で、なのですよね?」
検察官が、意地の悪そうな顔で俺に質問した。
でも、その質問も想定内だ。
「先に求めたのは俺の方です。雅紀は...相葉さんはそれに答えてくれただけで、何も悪いことはしてないんです...」
「...翔...」
雅紀の呟きが俺に耳に届く。
「俺たちは、ちゃんと愛し合っていました。」
裁判員たちが、俺の言葉を聞いて少し騒めいた。
......本当のことだ。
俺達は....
愛し合っていた...
そうでしょ?...雅紀??
俺は心の中で叫んでいた...
衝立の向こうにいる雅紀は、
今どんな顔をしているの?俺のこと...
俺の証言を、どう思ってくれているの?
......雅紀に、会いたい...顔を見たい...
抱き締めてもらいたい...