第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
その日は、朝から真っ青な空が広がっていた。
久しぶりの東京駅に着いた俺は、
迎えに来てくれた長野さんの事務所の人の車に乗って裁判所に向かった。
あれほど騒ぎ立てていたマスコミも、
時間が経てば興味の対象を他へ移し、
裁判だと、騒ぎ立てるようなこともなく、
到着した裁判所はひっそりとしていた。
「よく来てくれたね、翔くん。」
「よろしくお願いします」
深々と頭を下げる俺の肩を、長野さんは優しく叩いた。
雅紀は俺が証言することを拒否していたということで、
「翔くんが今日来ることを、相葉さんは知らないんだ...
だから、相葉さんが動揺することもあるかと思うけど、気にしないで話してほしい...」
「...はい」
「あ、それから、規定で決まっていることだが、未成年の君は衝立の中で話してもらうから、相葉さんからは見えない...傍聴席も、今日は非公開にしてあるから...」
「...雅紀から...見えない...」
「顔を見たいかもしれないけど、今日は我慢して欲しい。裁判を有利に進めるために、君がいたって冷静であることが望まれるんだ...
取り乱したり、錯乱して相葉さんに詰め寄ったりすると、精神状態を疑われ、証言が重要視されない可能性もある...」
「...俺がおかしいって、ことですか?」
「そう思われたくないんだ。裁判が終われば、
自由に面会できるようになるかもしれないから...
今日のところは、我慢して欲しいんだよ...
出来るね?」
...雅紀の顔も見れない...
雅紀の姿も......
秘かに、雅紀に会えるのを楽しみにしていたのに。
黙っている俺に、長野さんは、
「君が話すことが、相葉さんを助けることになる。
頼んだよ...」
と言った。