第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
俺を訪ねてきた長野と名乗る弁護士は、
「君の言葉が、相葉さんを救うことになるかもしれないから、正直に答えてもらいたいんだ」
そう言った。
俺の言葉が、雅紀を救う.....
雅紀を....
マサ..キヲ....
........喉の奥が、張り付いたようになって、上手く声がでない...
子どもに絵本を読んで聞かせるように。
優しい口調で長野さんは話している...
お座なりの捜査しかしていなかった警察が、
俺たちの周りで内偵を始めたのは、
何年も前に行方不明になった少年が、
監禁されているようだという情報が入ったこと。
.....俺のことを心配した小原が言ったのか?
それとも、また別のところから出たのか?
そんなことは最早どうでもいい...
聞こえてはいても、
耳に入ってくることもない。
ましてや、心に届くことなんて、ない...
だって俺は、
あのときに.....
雅紀から引き離されたあの瞬間に、
全ての感情を閉ざしたのだから。
何も悲しくない...
何も感じない...
寂しいと思うことも、
苦しいと思うことも、
寒さも、暑さも.....
.........
黙って長野さんの話を聞いていると、
長野さんが一通の白い封筒を差し出した。
「相葉さんからです。翔くんに..」
.......雅紀から..俺に....
「翔くん、大丈夫?」
気がついたら、白い封筒を握りしめて、
ぼろぼろ泣いていた。
まだ、
泣けたんだ...俺....
雅紀が書いた手紙が入っている、
雅紀が触った封筒...
そう思ったら、
涙が溢れ出て、止まらなかった。