第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
俺たちは電車に乗って、休日の人がひしめく渋谷に向かった。
その町は、引き籠ってた俺にとっては、クラクラする程刺激的で。
俺は雅紀の陰に隠れて歩いた。
「ほら、掴まって。」
出された腕に自分のを絡めた。
雅紀に守られて歩く....
押し寄せる人並みを、雅紀が交わしてくれる。
俺はやっと、安心できた。
雅紀とふたりで公開されたばかりの忍者の映画を観た。
映画なんて観たのはどのくらいぶりだろう。
観終わって、スクリーンで観るその迫力と、物語の内容に、興奮気味の俺は、もう、すっかり饒舌になってて。
「ねえ、あの一騎討ちのシーン、凄かったね!」
「特撮っていうの?迫力あったしね。」
俺が、忍者映画を気に入ったから、雅紀がキャラクターのキーホルダーを買ってくれた。
「ありがとう!雅紀!!大事にする」
「ふふふっ、翔...可愛い〜」
「何それ!バカにしてるの〜?」
雅紀の笑顔に、心がほっと温かくなる。
俺たちは、ラーメンを食べて、マンションの近くのコンビニで、アイスをふたつ買って、帰った。
マンションが近付いくと、どちらからともなく手を繋いで、夜の闇に紛れるように歩いた。
この幸せが、ずっとずっと続いて欲しいと....
願いながら、信じながら...
「失礼します。相葉雅紀さん...」
声を掛けられ、ふたりで降り向いたら、
スーツの男性がふたり、俺たちを見ていた。
「はい、何でしょう?」
答える雅紀の声がいつもより低くて。
俺は、反射的に雅紀の後ろに隠れた。
「世田谷署の山口と言います。そちらにいるのは櫻井翔さんですか?」
「.....」
「ちょっとお話、伺いたいんですけど。」
足元の砂が、
さらさらと溢れ落ちていく音が聞こえた。