第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
そんな俺に、
「よかった~!俺、塾があるけど、今日はサボってもいいや!だってこんな奇跡、ないもんね!」
笑いながら、嬉しそうに肩を組んできて歩きだした。
俺は、戸惑いながらも、それに従おうとした...
その時。
「櫻井のおじさんもおばさんも、きっと喜ぶよ!櫻井がいなくなって、いろいろ反省してたみたいだし...すごく探してたからさ..」
と、言った。
......櫻井の...父と...母が...
喜ぶ??
そんなはずない。
俺のこと、本当に探してなんかいない...
心配なんかするはずない!
急に立ち止まった俺に、小原は、
「どうした?行こうよ...なんならさ、櫻井んちに招待してよ!今まで隠れてたところ!」
俺は蒼ざめた。
こいつに...小原に会っちゃいけなかったんじゃないのか?
俺は...
もしかして取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないのか!?
「櫻井...どうしたの?真っ青だけど...」
俺は慌てて走り出した。
出来るだけ早く小原から離れなきゃ///
「櫻井!!おい!どうしたんだよ?櫻井ってば...止まって!」
小原が追いかけて来たけど、俺は振り向かずに走った。何とかして小原を振り切らなきゃいけない...
雅紀との生活を...
大切な俺の居場所を守るために。
人にぶつかり、怒鳴られても、俺は走った。
逃げなきゃ///
誰も知ってる人がいないところに...
雅紀の笑顔が脳裏に浮かんだ。
雅紀と離れるなんて嫌だ。
雅紀がいなくちゃ、俺はもう生きてなんかいられないんだ...
もう小原は追いかけてはこなかった。
でも。
ほんの少しだけ覗いていた、俺の...俺だけの青空に、黒い雲がゆっくりとかかっていくような...
得体の知れない不安が...少しずつ迫っているような、そんな気がした...