第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
その日から、雅紀は俺の朝食を作って、
自分はコーヒーだけ飲んで会社に出掛けた。
「俺も、朝ご飯、いらない」
って言ったら、
「子どもはちゃんと食べないと大きくならないぞ」
って...
俺もう、子どもじゃないんだけど。
それから、俺と雅紀は一緒に暮らした。
『いつ出ていってもいい』雅紀はそう言ったけど、
俺にはいくところなんかなかった。
もう二度と、あの人たちの家になんか帰りたくなかった。俺が飛び出した後、あの二人がどうなったかなんて、どうでもいいことだった。
興味もない...知りたくもない...
俺にとっては、あの家にいるよりは、
ここで雅紀と暮らす方がずっと良かったんだ。
俺に、何の愛情も感じていない父親や、
俺を性の捌け口にするあの人...
地獄のような毎日だった。
それでも、父親は体裁を気にする人だから、
俺が居なくなったことを警察に届け出たようで。
雅紀が駅で警察官が職質しているところや、
俺の親と思われる男女が、ビラを配っていたと...
持ち帰ってきたビラには、俺の写真と、
特徴、居なくなったときの服装や靴が書かれていた。
「...俺、148㎝じゃないし...」
「何センチなの?今...」
「151...」
「それほど変わらないじゃん...」
雅紀はそう言って楽しそうに笑ったけど。
俺にとっては重要なことなの!!
そんな風に、あの人たちは俺の身長どころか、
何が好きで、何に興味があるのかなんて、
全く聞いたこともなかったんだ。
あの家にいても、
俺はずっとひとりぼっちだった。
誰にも愛されず、
誰にも必要とされず、
惰性で生きる毎日。