第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
雅紀は警察に連絡しないで、
俺のことを部屋に入れてくれた。
『知らない人についていってはいけない』と施設で教えられていた。
でも、そんな教えは、この時の俺にはもはや無意味だった。
だって。
死んでもいいんだから。
怖いものなんかない。
例え、この後この人に殺されて捨てられてしまっても...
それでも、構わない。
それにきっと、この人、悪い人じゃない...
俺は黙って、初めて会った雅紀の後についていった。
雅紀は俺を風呂に入るようにいい、着替えを出してくれ、ココアを入れてくれた。
こんなどこの誰ともわからない俺に、親切にしてくれるこんな人が、この世にいたんだって、始めって知ったあの日。
「好きなだけ、ここにいていいよ。
お家に帰りたくなったら、いつでも出ていって構わない。部屋の鍵は管理人さんに預けていけばいいからね...」
雅紀は、俺の素性や事情は聴かずにそう言って笑った。
その笑顔は今でも忘れない...
悪魔の家から逃げてきた俺にとって、
その笑顔は神様以上に輝いていたんだ。
今思うと。
初めて出逢ったあの瞬間から、恋に落ちていたのかもしれない...
15の俺が、大人の男の人に。
あり得ないけど...
男同士のそういう関係のことも、
全く知らなかった。
でも、あれは...
あの気持ちは、やっぱり恋以外の何物でもなかった。
ありきたりの言葉だけど。
雅紀との出会いは『運命』だったんだ、きっと。
その夜から、俺はずっと雅紀と一緒にいる。