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風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜



そこからは、修羅場だった。

彼女の髪を掴んで大きな声で怒鳴る父親。

泣き叫び、許しを請う声...
物の倒れる音...


俺はだた、布団を被ってガタガタと震えていた。


それからどうなったのか、
後になっても、よく覚えていない。

二人は言い争い、汚い言葉でお互いを罵りながら部屋から出ていってしまった。
一人取り残された俺は、急に思い立ったように服を着込んで
逃げるように家を出た。

裸足に、靴だけ履いて。

とにかく、そこから逃げたかったんだ。
二人の声が聞こえなくなる場所に。


深夜。
酔っ払いが声を掛けてくる。

怖い...

どこに行けばいいんだろう。

俺は、見たこともない夜中の街をさまよいながら、不安と恐怖で押しつぶされそうになっていた。

人気のない道を選んで歩いているうちに、
完全に知らない住宅街に迷い込んでいた。


...ここはどこ?

どうしたらいいの?どこに行けばいいの?


携帯も、お金も持って出なかった俺は、
疲れと寒さで動けなくなり、
そこにあったマンションの植え込みの端に蹲って身を隠した。

......このまま、ここで死んでしまっても構わない。

もう、あの人たちのところには帰れない。
でも、行くところもない。

施設に戻っても、またあそこに戻されてしまう。

だったら、
このままここで...

悲しくなんかない。

たとえ、俺がいなくなっても、
悲しんでくれる人なんか...

いない...

もう...

疲れたよ...


「そこで何してるの?」

声を掛けて来たのが、雅紀だった。


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