第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
部屋で勉強をしていて、そろそろ寝ようかと思ったのが、夜の12時を回ったところだった。
部屋の明かりを消して暫くすると、
あの人が入ってきた。
「翔くん、寝たの?」
「......」
「ママが寝かせてあげようか?」
「......」
白いふわふわのネグリジェを着た母親は、
俺の隣に潜り込んできた。
「えっ?」
薄暗がりの中、
仰ぎ見たその人は、夜中には不釣り合いの濃い化粧をしていた。
俺をそっと抱き締めたその身体から、
吐き気がするほどの、雌の匂いがした。
何が起きているのか、分からなかった。
ただ、その人が俺を、そういう対象として見て、
無理やり俺を大人にしようとしている...
そう思った。
......俺は、初めて女の人を抱いた。
自分の気持ちがそこになくても、
男という生き物は、そういう行為が出来るんだと知った。
行為が終わった後、
その人は微笑みながら俺に口づけた。
体の震えが止まらなくて...
動くことも、話すこともできなくて...
彼女は、
「お父さんには言っちゃだめよ。
これは翔くんとママの秘密ね...」
そう言って部屋を出ていった。
その悪夢のような夜は、
それからも父親が泊まりの度に続いた。
昼間は澄ました顔をしたあの人は、
深夜俺の部屋に忍んで来る時だけ、
女になる。
外で見せない顔で...
俺にしか見せない女の顔で、
俺に抱かれにやって来るんだ...
心が......
壊れていった。
そして、あの晩も。
父親が泊まりでいない夜...
あの人が来る...
俺は布団を被って息を殺していた。