第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
この時のキスは、いつもゆっくり、
味わうような優しいキスで、
決してそれ以上は求めてこない...
その先を求めても、受け入れてもらえないのは
分かってるから...
それでも...
雅紀に馴らされた身体は、
芯の部分で、チロチロと赤い焔が燻りだす。
「..ん..っふ..んん...」
我慢しようとしても、
どうしても漏れ出してしまう甘い声に、
雅紀はその唇を離して、
「続きは後でね...」
と優しく笑う。
......本当は、感情のままに求めあいたい。
好きな時に、
好きなだけ愛し合いたい...
でも、雅紀はいつも、
俺の欲情に火が灯りそうになると、
俺の身体を離してしまう。
どんなに俺が、
もの欲しそうな顔をしていても、
それを許すことはない...
今まで一度もない...
大分前に、それでも欲しいと
強請ったことがあったけど、
「翔...そんな娼婦のようなことをしてはいけないよ...自分から強請るのは、許さない...」
有無を言わさないその目に、
俺はもう黙るしかなくて...
それ以来、自分の感情のままに、
雅紀に行為を求めることはしなくなった。
あくまでも、俺は雅紀の主導権に従う、
従順な相手でなければならない...
ベッドのシーツをきちんと直し、
俺は部屋を出た。
雅紀はキッチンで夕飯の用意をしていた。
俺はカウンターの椅子に座り、
その様子を黙って眺めていた。
サラサラの髪の毛が、
額にかかって、ほんとに綺麗だ、って思った。