第24章 『恋人たちの棲み家』〜相葉×櫻井〜
【 翔side 】
静かにロックを解除する音がする。
....あの人が帰って来た。
いつも最初に洗面所で手を洗う。
その後うがいをするんだ。
うがいは決まって5回。
そしたら寝室に行って着替える。
上は大きめのトレーナー。
下はスエット。
色は濃い緑がお気に入り...
そして....
「ただいま、翔...」
俺の部屋に顔を出すんだ。
それは毎日繰り返された、俺の日常。
何年も変わらない俺の世界...
世の中から忘れ去られた、
現実社会から切り取られた、
そんな空間がここにはあった。
「おかえりなさい...雅紀」
部屋のソファーに腰かける雅紀の膝に、
当たり前のように跨り、
その首に両手を掛けた。
「いい子にしてた?」
「うん...悪い子にしてるって、どんなこと~?」
その仕草が好きだって知ってて、
わざと小首を傾げて見せる。
「......そういうとこ。悪い子だね...」
「..ごめんなさい...」
そう言いながら、俺は舌を出して唇を湿らす。
雅紀はそんな俺の頭を引き寄せ、
じっと見つめてから、唇を押し当てて来た。
ゆっくりと啄むようなそのキスは、
余裕があって、緩慢で...
逆に俺の劣情を煽るんだ。
わざとこっちから口を細く開けて舌を少し出すと、雅紀も同じように舌を僅か突き出してきた。
首を引き寄せ、絡め取って咥内に引き込むと、
ミントの味がした。
...いつもの雅紀のキスの味だ。