第23章 『逃げなきゃ!』 ~櫻井×二宮~
「ニノ...勇気のない俺を許して。
もうずっと前から、ニノに伝えたいことがあって。
伝えなきゃいけないことだったのに...
意気地なしで、情けない俺は、どうしても言い出せなくて...
ニノの方から言ってくれないかな?って...
酷いだろ?俺の方が年上なのにさ...」
翔さんは、いったい何を言おうとしてるの?
もしかして...
それって...
じっと翔さんを見つめる俺。
すると。
観覧車は、頂上をとっく過ぎて、下に付いてた。
ドアを開けるおじさんに、
「お願いします!このまま、もう一周乗せてください!お金は後でお支払いしますから!!」
そのあまりの剣幕に、おじさんは、
「あ..ああ...はい、どうぞ..」
とドアを閉めた。
俺と翔さんは再び二人きりの密室の旅に出かけた訳で...
「......ごめん、なんか俺、カッコ悪り~よな...」
照れたように頭を掻いた翔さん...
そんなことないよ。
後ろに見える海よりもずっと眩しくて、
そして綺麗だよ...
「よし...もう、言う!...ニノ」
「はい..」
「お前が好きです...二宮和也...」
.........嘘、でしょ?
固まって、息もできない俺に、
翔さんは、
「高等部の時から、ニノだけが好きだった。何度も言おうとしたのに、勇気が出なくて...
男が好きだって、そんなの軽蔑されたら...俺..
ホントはもっと早く伝えて、ニノと恋人になりたかった...伝えるのに、4年もかかっちゃったよ...」
笑う翔さんの顔が、涙で滲んで、もう見えない...
「ニノ...大好きだよ...」
翔さんの綺麗な顔がゆっくり近づいてきて、
俺の唇が彼のと重なったのは、俺たちの乗った少し傾いた観覧車が、丁度一番高いところに来た時だった。