第23章 『逃げなきゃ!』 ~櫻井×二宮~
でもすぐに表情を緩めて、
「忘れてよ...それ...」
と笑った。
......翔さん
....翔さん
...翔さん!やっぱり好きだよ。
その笑顔が、大好きで、ずっと大好きで...
俺。
「翔さん」
「ん?」
言いたい。
伝えてから...俺から伝えたい...
翔さんに、『付き合ってる子がいる』
何て言われてしまたら、もうこの思い、伝えることが出来ない。
だから...
「中等部の時、初めて翔さんに会って。
ニノ、ニノ...って、いつも可愛がってもらって」
「ホントに可愛かったよ~...あの頃のニノ」
「俺さ、ずっとずっと、翔さんの隣に居られて、ホントに幸せだった...毎日楽しかった...」
「...?..ニノ..」
俺の生唾を飲む音が聞こえて、恥ずかしい...でも、
勢いって大事じゃん?
「俺、ずっと、翔さんのことが、す..」
「ニノ!!!」
慌てて立ち上がった翔さんは、隣に来て俺の口を塞いだ。
観覧車が大きく揺れた。
...何?どうして...
翔さんは、俺の隣に座ってから、ゆっくり口を開いた。
そして、
「ニノ...言わないで、それ以上...」
「翔さん...」
「今日さ、ここに来たのは、いや、ずっとニノのこと探してたのは...ニノに、伝えたいことがあって...」
「だから俺から先に..」
翔さんが、深く項垂れて、
次に顔を上げた時には、決心したような強い瞳で、俺のことじっと見つめた。
......吸い込まれそうだ...
「翔さん」
「ニノ」
二人の声が重なって、
俺は黙って翔さんの言葉を待った。
大きく胸で深呼吸して、翔さんが口を開いた。