第23章 『逃げなきゃ!』 ~櫻井×二宮~
そして、今。
俺は窓から流れる高層ビル群を眺めて、
押し黙っていた。
どこに向かっているのか...
俺のこと、どうしたいのか?
まさか、意中の人に会わせたいから、
一緒に来てくれ、何ていう訳じゃないでしょうね~?
車が滑り込んだのは、
東京の外れ。葛西臨海公園の駐車場。
ずっと黙ってる翔さんの横顔は、やっぱり少し怒ってるようで...
すると翔さんは、俺の乗ってる助手席の車のドアを開けて、一言、
「降りて」と言った。
黙って従う俺の手首を掴んで、ずんずん歩き出した翔さん。その向こうには、青空に向かってそびえ立つ、大観覧車が...
平日の観覧車は、割と空いていて、
入り口で、
「大人二人...」
とチケットを買った翔さんは、
「行こう...」
と、今度は手首じゃなくて、俺の手を取ってしっかり繋いだ。
大股で歩く翔さんに連れていかれる俺...
見ようによっては父親と息子...?
の訳、ないか...
係のおじさんにチケットを渡す間も、
翔さんは手を繋いだままで。
おじさんも、見てはいけないと思ったのか、
目を反らせている...
そして、何だかわからないままに、
俺は翔さんと観覧車に乗り込み、青空散歩に旅立った。
...死刑宣告なのか?
俺には、皆目見当がつかなかった。
「...ディズニーランドが見えるよね...」
不意に後ろを向いてた翔さんがそう言った。
確かに、俺の目の前にはあの有名なプリンセスの住む大きなお城が見えた。
「ニノと行ったよな~...」
「...うん...」
「...楽しかったよな」
「翔さん、スプラッシュマウンテンで泣いてた...」
「.....」←めっちゃ睨む..
あ...地雷...踏んだのかな?