第23章 『逃げなきゃ!』 ~櫻井×二宮~
俺は、1週間ぶりに大学のカフェに顔を出した。
何だろ?
死刑台に上る罪人の気分...
まあ、そんな立場になったことはないけど。
別の言い方をすれば、離婚届を出しに行く、
未練たらたらの亭主...
あ、それも経験なかった!!
とにかく。
何年もずっと片想いしていた人に、
バッサリと止めを刺されて、
さようなら、僕の恋心...
『断腸の思い』って、こういう気持ちなんだ、多分。
「あ、ニノ~!!こっちこっち~!!」
俺に気付いた潤くんが大きな声で俺を呼んだ。
俺が逃げると思ったんだろうね~
相葉くんが急いで席を立って、走ってきた。
...逃げないよ...もう。
だって覚悟してきたんだもん。
夕べ、散々泣いたんだもん。
...もう、翔さんから、逃げない...
「何してたんだよ...今まで?腹でも壊してたん?」
呑気にそう笑う大野さんに、
俺は何も言わずにただ曖昧に笑った。
「...あ、翔さん?ニノ来たよ!...うん...そう...今いる...うん、分かった」
俺が来たことを、ご丁寧に翔さんに報告する松潤。
お前は下っ端刑事かっ///
俺は、相葉さんに促されるままに椅子に座った。
「なんか、少し痩せた?どうして電話に出なかったの~?」
「アパートにも帰ってなかったし...」
「バイトには顔出してたみたいじゃん」
...3人に囲まれ、尋問を受ける俺は、
冗談抜きで逮捕された犯人みたいだ。
そこへ。
カフェの入り口にいた女子たちが一瞬騒めき、
翔さんが登場した。
その姿を確認した俺は、膝の上で握った拳に力を入れた。
こっちに向かって迷わずに歩いて来る。
俺のこと、じっと見つめたまま...
こんな時なのに...
こんな時だけど...
やっぱりカッコいいよ...翔さん...