第23章 『逃げなきゃ!』 ~櫻井×二宮~
俺は視界の隅に、テラスから入ってきた翔さんの姿を捉えながら、大慌てでその場から走り去った。
捕まったら大変だもん。
「ニノ~?今日の合コン、どうすんだよ~?」
松潤の声を聴きながら、
俺は猛ダッシュでカフェから逃走することに成功した。
俺のこと捕まえといて、
なんて、みんなに協力を求めたその人。
櫻井翔は俺たちのリーダー的存在だ。
まあ、研究会の会長は、一応大野さんだけど、
実際、俺たちを中心でまとめているのは、翔さん...
お坊ちゃまって言葉がぴったりの品のある立ち居振る舞い。
優雅な身のこなしと甘いルックスから、学部内にファンクラブがあるほど。
が、しかし。
大学3年になる今まで、彼女らしい特定の娘がいたっていう話は聞いたことがなくて...
とっかえひっかえ、
不特定多数の女の子と付き合ってる...とか、
実は凄い年上の人妻と不倫してる...とか、
宗教上の理由で、結婚するまではシない...とか、
男にしか、興味がない...とか。
翔さんはかなり目立つ存在だから、
色んなうわさが飛び交っているみたいだけど。
実際はどうなのか...?
その真実は誰も知らない...
もしかして、結婚してて子どもがいる、
なんて噂が出て来たのは2週間前だっけ~?
俺は、中等部の頃からずっと、
翔さんに可愛がられてて、どこに行くにも連れてってくれた。
『ニノ、ニノ』って、一番に俺に声を掛けてくれ、
俺は、女子から嫉妬剥き出しの目で睨まれていた。
そのうち刺されるんじゃないか~?
と松潤は笑って言ってたけどね。
ホントに、あるかもね...