第22章 『僕は小さな管理人』 〜大野×櫻井〜
こんな風に。
俺と翔くんの生活は、3年目に入っていた。
ときどき来るご本体に、翔くんが小躍りするのも、手土産持ってやってきた智の鼻の下が伸び気味なのも、
すっと側で見て来た。
智が来たときは、俺は寝室じゃなくてテレビの横の箱ベッドで寝てた。
寝室から聞こえてくる、智の息遣いと翔くんの甘い声を聞こえないように、ぎゅっと耳を塞いで....
俺は知ってた。
翔くんが忙しい智に遠慮して、気を使ってばかりいるってこと。
我儘言わないで、いつも携帯を眺めて、智が来るのを待ってるってこと。
智は、ホントはもっと翔くんといたいんだ。
でも、一緒に時間を過ごすようになると、その中で翔くんを一人にしてしまう...
それくらいなら、時間が開いたときに数時間、翔くんのことだけ考えて過ごした方がいいんだって...
そう思ってる事。
ホントは、1秒だって離れたくないくせに...
素直になれない二人の気持ちが、
俺には悔しいけど全部分かってしまうから。
俺が...
二人のこと一番知ってる、この俺が。
二人のために、一肌脱いでやるか...
それが、
俺にとって、どんな結末になろうとも...
翔くんのために...
今夜。
智が来るって楽しみにしてる翔くんのために...
この夜。
俺はある覚悟を持って、智を待っていた。
二人の逢瀬の晩、俺の定位置のテレビの横で...