第21章 『ぽけっとの中の秘密』~大野×二宮~
【ニノside】
翌日俺たちは、秘境、インドの奥地レーに向かった。ヒマラヤの麓にあるこの町は思ったよりも綺麗で驚いた。
俺たちは早速翔ちゃんが調べてくれた店を目指し、タクシーの運転手にメモを渡した。
運転手は訝し気にじろじろ見ていたが、親指を立てて車を発車させた。
よかった、智には気付かなかったみたい。
町外れにひっそりと佇むその店に入ると、
髭の長い年齢不詳の親父が俺を出迎えた。
怪しい...もう全てが怪しすぎる///
でも、今の俺たちは、多少の怪しさはもう我慢しなきゃ!なのだ...
何しろ、自分たちが一番怪しいんだから|д゚)
俺はスマホの翻訳機能を駆使して、店主に事の成り行きを簡単に話した。
親父は俺を上から下まで失礼なほどじろじろ見て、
『その人はいるのか?』と聞いてきた。
「智、出て来いよ...」
するとぽけっとから小さな智が顔を出し、親父がそれを顔を近付けて見つめた。
「息がくせ~よ、歯磨きしてないんじゃ..」
「智、黙って!」
緊張で背中を汗が流れた。
暫く小さい智を眺めていた親父は、やがて何度か頷いて、店の奥に入っていった。
それから、しばらく待たされても親父は一向に帰ってこない。
「ニノ~、俺、見世物小屋に売られちゃうんじゃない?」
...ったく、何くだらないこと言ってるんだよ///事態はもっと深刻だっつ~の!
「そしたら俺、一人で帰るし..」
「そんな~...冷たいじゃん!」
「もとはと言えばあんたが..」
そこへ親父が手に小さなグラスを持って戻って来た。
「飲めって言ってるよ...」
「大丈夫かな~?」
「もう既にそんななんだから、怖いものなんかないでしょ?」
俺が冷たく突き放すと、智は意を決したのか、妖しいその液体を飲んだ。