第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
俺はそれからもそのアパートで、
毎日同じ生活を繰り返していた。
『待ってて』と翔くんが言ったあの場所を、
守ることが俺にできること...
翔くんが帰ってきたら、ふたりで綺麗な広いマンションに越すために、コツコツ貯金もしていた。
いつ翔くんが帰ってきてもいいように。
そんな俺に、驚愕の事実が突き付けられる。
俺の住んでるアパートが、再開発の計画地域に引っ掛かって、大家さんも立ち退きに同意した、って...
...そんな///ダメだよ。ここに帰ってくるんだ!!翔くんは...帰って来た時に、この部屋が無くなっていたら、翔くんはどうするんだよ///
俺は反対した。
でも、俺を除く住人が全員、立ち退き料を貰って引っ越しを決めた。
元々不便が多かったボロアパートだ。
新しいところに引っ越せると、みんなむしろ喜んでいた。
でも、俺は最後の最後まで首を縦には振らなかった。
翔くんが......
帰ってくるって、そう言ったんだもん。
ここで待っててやりたいんだよ...
でも。
やっぱり俺一人の力じゃ、どうしようもなくて。
俺は、このおんぼろアパートから立ち退くことにした。
まあ、
翔くん、俺の連絡先とか、知ってる訳だし。
このアパートが無くなってたら、連絡くれるだろうから。
俺は新しい引っ越し先も決め、相葉くんたちに手伝ってもらって荷物も運びこんだ。
そして、いよいよ、今日でこの部屋ともお別れという晩。俺は寝袋をもってアパートに戻って来た。
今夜はここで寝ようって...
翔くんとたくさん愛しあったこの部屋で、
翔くんを思い出しながら寝ようって...
すると。
ドアの前に人影が...
......もしかして...??