第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
その三日後。
仕事から帰ると、翔くんの荷物が少し無くなってて、翔くんがいなくなってた。
......ホントだったんだ。
『暫くいなくなる』って翔くんが言ってから、もうその話はしなかったし、夕べもいつも通りに...いやむしろ、いつも以上に濃厚に愛しあったから...
もしかしたら、状況が変わったのかも...とか、気が変わってたらいいのにな...って思っていたのに。
自分に都合よく考えていたけど、
やっぱり翔くんは、いなくなった。
テーブルの上に、今夜の夕飯と、メモが...
『ニノ..いってきます。待ってってくれるよね?必ずここに帰ってくるから...俺を信じて待ってて欲しい...
愛してるよ、ニノ 翔』
......翔くん...
テーブルの上には、俺の大好物のオムライスが乗っていた。その上のラップに『温めて食べてね』と、マジックで書いてあった。
......翔くん...
俺は、そのオムライスの文字をなぞりながら、涙が溢れた。だってさ、まだそのオムライス、温かかったんだ...
さっきまで君は、ここにいた...
そうでしょ??
狭いキッチンで、俺のためのオムライスを作る翔くんの姿が浮かんで、俺は涙が溢れて、止まらなかった。
......翔くん、絶対に帰ってきて!!
何年でも、何十年でも、ずっと君のこと待ってるから。
ここで、
君と暮らしたこの部屋で、
いつまでだって待ってるからね。
......翔くん、愛してるよ。
俺はいつまでもオムライスの皿を抱えたまま、
その場から動けなかった...