第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
それから、俺と翔くんの甘い甘い同棲生活は順調に続き、1年になろうとしていたある日。
風呂から出てきた俺に、翔くんが、
「ニノ~、ちょっと話があるんだけど...」
って改まってそう言った。
「なあに??」
少し、神妙な顔した翔くんは、俺の目を真っすぐに見ていった。
「実は、少しだけ、遠くに行ってきたいんだ...」
えっ??遠く??...遠くっていったい...?
「理由とか、どこに行くのとか、聞かないで欲しいんだ。...あと、どのくらい行くのかも...」
「...翔くん...」
「必ず帰ってくるから!絶対にニノのところに戻ってくる!約束するから。俺を信じて行かせて欲しいんだ...」
「...翔くん...」
彼の真剣な目を見てて、これは冗談なんかじゃないんだって...本気で言ってるんだって...
そう思ったら、ダメだとか嫌だとか、言えなくて。
翔くんは、黙っている俺の身体をぎゅうっと抱き締めた。
「ニノ、待っててくれる?俺のこと...」
......ホントなんだな...
ホントに翔くん、俺の前から居なくなるんだな...
そう思ったら、泣きそうになった。
でも、泣くのはかっこ悪いし、翔くんが困るから、俺は、グッと奥歯を噛んで腹に力を入れた。
「いいよ!行っておいでよ...俺はずっと待ってるよ!!
淋しくないって言えば、嘘になるけど、翔くんのこと、信じてるから...」
「ニノ...」
俺の顔を見た翔くん...
何だよ~...翔くんの方が泣いてるじゃん///
もう///
泣くなよ...翔くんが泣くと、俺だって...
......
「翔く~ん///帰ってきてよ!絶対だよ~///」
「うん...絶対...」
俺たちは抱き合ってしばらくの間、おいおいと声を上げて泣いた。
......とても他人にお見せできない現場だよ...