第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
ほぼ定時に、俺は鞄をもって立ち上がった。
いつも時間になっても関係なくやってる俺のそんな姿に、周りのみんなは驚いた。
「なになに~?今日は早いね?デートかな?」
長野係長がそう言って笑った。
「いや、まあ..そんなとこです...じゃあ、お先」
すると向かいの山田くんが、
「え~ホントに??もう、ゲームしに行けないじゃないですか~///」
って、大袈裟に残念がってみせる。
俺は適当にあしらって、急いで会社を出た。
自然と急ぎ足になる。
駅まで何人も追い越した。
...翔くん...君はいるの??
俺の帰りを待っててくれる?
ホームで電車を待ってる間も落ち付かず、いつもは携帯ゲームしてる俺が、そわそわと時計を睨んでいた。
やっと最寄りの駅について、急いで帰ろうとすると、いつもは気にならない、通りのケーキ屋が目にとまった。
『お土産にケーキでも勝ってこうかな?』
吸い寄せられるように店内に入り、俺はあれこれと悩んだ結果、チョコレートケーキとチーズケーキを1つずつ買った。
......翔くん...ケーキ、好きかな~?
ドキドキしながら、こんなお土産まで用意して。
俺は何年かぶりの、ワクワクする気持ちに戸惑っていた。
だって、こんな気持ち元カノと別れてから、本当に久しぶりなんだもの...
元カノとだって、一緒に居てもゲームばっかりする俺に、
「私とゲームとどっちが大事なの?」
なんて聞かれて、一気にうんざりしちゃったんだよね、俺...
そんなこと聞いてくる女って、やっぱり俺には無理だって...そう思っちゃってさ...
最後の角を曲がって、部屋の窓を見上げると、カーテンから明かりが漏れていて、
「あ!!いる❤」
俺はもう走って階段を駆け上がった。
↑ケーキは無事かしら~??(;・∀・)