第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
極悪人だと、勝手に決めつけてしまった負い目と、俺の大切なSuicaを拾ってもらったお礼と、
......後は、まあ、なんだ...
とにかく!!
俺は、気が付いたら、見ず知らずの人を夜のアパートに誘い込み、コーヒーを落としていた。
彼は、物珍しそうに、部屋の中を見回している。
俺はそんな彼をちらちら見ながら、
とっておきのコナコーヒーを入れた。
職場の先輩のお土産で貰ったんだけど、
後少ししかないから、大事に飲んでいたやつだ。
これを他人に入れてやるってことは、
もう、最大級の歓迎をしてるってことで...
......でも俺、彼の名前も知らない...
「はい、どうぞ♪コーヒーでよかった?」
「うん、ありがとう♪凄くいい匂いだね...」
そう笑った彼から、俺は不覚にも目が離せない...
何て綺麗なんだ...
男の人なのに、綺麗っておかしいけど。
ほんとに、目の前の男性は、今まで俺が会ったこのある、どの男より、いや...女も含めても...綺麗だった。
「...飲んでもいい??」
「えっ??あ、ああ、どうぞどうぞ!!」
俺は、彼がゆっくりとコーヒーを飲むのを見ていた。
「美味しい❤...これ、コナ?かな?」
「えっ??分かるの?凄いね...その通りだよ!!」
「俺も、コーヒーには目がないんだ..」
そう笑った彼の目に、吸い込まれそうで...
俺はテーブルの上の拳を強く握った。
「...俺は、翔...えっと、君は...?」
...翔...名前も綺麗だ...
「あの...」
困った顔した君に、俺は慌てて、
「あ、ごめん!!俺は和也...友達はニノって呼ぶんだ!」
「ニノ?...じゃあ、ニノ...今夜、ここに泊めてくれない??」
急なその申し出に、俺は固まった。