第20章 『美味しく召し上がれ』〜二宮×櫻井〜
【 二宮side 】
さっきから、俺、つけられてる。
一定の距離を保って、着いて来るヤツがいる。
どうする??俺....
暫くは、後ろに意識を集中しつつ、気づいてない振りを装って歩いていたけど、
そろそろ、振りきらないとアパートまで着いてきてしまう。
なぜ俺をつけているのかは不明だ。
でも、このまま連れてく訳にもいかない。
それならば.....
俺は、角を曲がったところで、走り出した。
一気にフルスピードまで速度を上げて、変質者を振り切るつもりだった。
↑変質者って、決めつけたのね...
.....それなのに....
後ろのやつは、走った俺を逃すまいと、一緒に走り出し、遂には俺を追い越したところで止まった。
????な、なんなんだよ?いったい///
はあはあと、息が上がってしまい、両手を膝について苦しそうにする俺。
その2m先で、静かに佇む殺人鬼は、
↑変質者から、殺人鬼に昇格ですか?
怖くて顔も上げることも出来ない俺に、
目の前の誘拐犯は←今度は誘拐犯かい///
のんびりした声で言ったんだ。
「これ、君の、だよね??」
驚いて見た目の前の人の手には、
見覚えのある四角い... ...
「あっ!!俺のSuica!!!」
慌ててその手の先を見ると、キラキラした笑顔の好青年が、俺のこと見ていた。
↑いつの間に、好青年になったん?
「あっ、もしかして、拾ってくれたの??」
「うん♪声掛けようって思ったら、急に逃げるから...」
「ごめん...てっきり俺、変...な人かと思って」
「でもよかった!ハイこれ。もう、落とさないでね🎵」
そう言いながら、俺の手を取って、カードケースを握らせてくれたその人の手が、あんまり冷たくって...
俺は思わず言ってしまった。
「あの、アパートそこだから、良かったら、お茶でも...」