第19章 『ささのはさらさら scene2』~松本×大野~
「もしもまた、智に会った時、
胸を張って、智と対等でいられる人間になっていたい...智が認めてくれるような、そんな俺でいたい...
そう思って頑張った。
逆にね、そうなったときに、また智に会える気がしてた。」
「....潤...」
智が何か言う前に、俺は最後まで言わなきゃって、そう思って急いで続けた。
「...智...これ...」
俺はずっと握りしめていた手を開いて、二つのリングを智の前に出した。
「俺さ、分かってたよ?あの頃、智が、俺から、いつか離れようって...そう思っていたこと...
それって、俺のことを思って、でしょ?
俺の将来に、自分はいらないって、そう思ってたからでしょ?
でも俺、絶対に離れたくないって、そう思てって、智が別れようって言っても、何があってもしがみ付いていようって...そう思ってた。
離れて...会えなくなって...時間が流れても、俺の気持ちは変わらなかった...いや、寧ろ...あの頃よりずっと、智のこと必要だって、そう思ってる...
これから先、ずっと一緒に居たい...
智がいない人生なんて、やっぱり俺には考えられない...だから。
指輪、受け取って欲しい...いつ智に会ってもいいように、毎日持ってたんだ...
箱が、もうボロボロになっちゃったから、それからは、ずっと、首に下げていた...
もう、俺の一部って感じだよ...」
そう言って笑ったけど、涙が頬を零れ落ちた。
......ああ、俺泣いてたのか。
この時初めて気が付いた。
智は、唇をきゅっと結んで、俺の掌のシルバーを見ていた。
......神様!!
今日って、俺にとって、人生最良の日になる!!
そうですよね??
今日って、大安吉日だったっけ?
朝の占い、1位だった、よね?
......智が、ゆっくりと俺の顔を見た。