第19章 『ささのはさらさら scene2』~松本×大野~
その日は、朝から抜けるような青空だった。
俺はサッカーの試合でグランドに来ていた。
相手チームは某有名大学の同好会。
普通にやれば負けるはずがない相手だ。
そこは、大学からも程近い、大きな公園に面したグランドで、自分で言うのもなんだけど、俺のファンも結構応援に来ていた。
「潤くん、試合いつ~?」
って聞いてくるから、教えてやって、
「暇だったら応援に来てよ♪」
って、そう言ってやると女の子達は喜んだ。
「女ったらしの誰かさんのお陰で、何てことないリーグ戦に、まあ、何て不似合いなサポーターだよ...」
翔がそう言って揶揄ってきた。
「言わせてもらうけどさ、あの半分は櫻井くんの親衛隊でしょ??」
「まあまあ。応援がいた方がやる気出るしさ(^^♪」
翔の言葉を受けて、俺は、たくさんのギャラリーに視線を送った。
『『キャアー///じゅんくう~ん!!頑張ってね~❤』』
......はあ、面倒くせっ///(-_-;)
翔は、あんなこと言ってたくせに、
親衛隊の皆様の差しいれを摘まんだり、お弁当を受け取って100万ボルトの微笑みを返してる...
彼曰く、笑顔は無料だから...って...
全く...よくやるよ(一一")
前半戦、相手チームの思わぬチェックを受け、
思うように動けず、その結果、1対0。
予想外の苦戦だった。
「潤!後半締めて行こうぜ!!」
「おう!!」
ハーフタイムで、少し時間があったので、俺は彼女たちからは死角になるベンチの向こうの水道に顔を洗いに来ていた。
「はああ~...気持ちいい///後半は、あのうざいチェック利用して、PKでも貰ってくかな~...」
そう独り言を言ったその時、
俺の横を一匹の子犬が走り抜けた。