• テキストサイズ

風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第19章  『ささのはさらさら scene2』~松本×大野~



智が学校から去って、いつの間にかマンションも引き払われていて、いよいよ俺と智を繋ぐものは何もなくなっていた。


俺は部活を引退し、受験勉強に没頭した。

それまでと全く別人のようだと、周りは驚いていた。

元々勉強ができなかったわけでも、
成績が悪かったわけでもなかった俺は、

なり振り構わず勉強した結果、
センター前の模試では難関と言われる志望校でさえ、A判定を叩き出すまでになっていた。


全ては、大野先生のため...

大学に行け。
夢を探して、自分の手でつかみ取れ。

それには、自分に合った大学に進学しなきゃダメ。

応援するから...
頑張れ、潤...



今でも、そう言って励ましてくれた先生の顔が、はっきりと浮かんでくる。



先生...


智...

俺、頑張る!!誰にも負けないように、必死にやる...だから...どうかもう一度...

お願いだから、俺の前に姿を見せて///



明日はいよいよセンター試験、という金曜日。
俺は翔と並んで帰り道を歩いていた。

「あ~...先生、どこ行ったのかな~...潤のこんな頑張り、見せてやりてぇ~よ、マジで...」

「...翔、大丈夫だよ、きっと会えるさ。
だって、俺にとって智は運命の人なんだ...

どこに居たって、必ずまた会える...俺は信じてるから...」


「...潤...」

そう笑った俺のこと、翔は何も言わずに、ただ見ていた...


...きっと、
こいつ、イッちゃってるやべ~奴だ、って。
そう思ったのかもしれないね。


でもね。

俺には分かってるんだよ...

あの人には、会えるんだ...
絶対にね?

だって俺...



俺は、ポケットの中の小さな箱をぎゅっと握り締めた。



春...
俺は翔と同じ難関大学に見事入学した。



/ 999ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp