第14章 『いつも貴方がいた』その後のふたりの生活②~櫻井×二宮~
【 二宮side 】
「あ~..よく寝た~...」
伸びをしながらバスのタラップを降りる翔の後に付いて、俺も駐車場に降りた。
雨は、上がって、雲の切れ間から、薄日が差し始めていた。
「さ。二宮さん...お魚、見に行きますか?」
「俺、食えないんで。見るだけなら、いくらでも..」
俺たち撮影のクルーは、閉演間際の水族館の中に入っていった。
巨大水槽『黒潮の海』の前。そこには、なんとも神秘的な、海の風景が広がっていた。
正直、海にも、魚にも興味がある方じゃないけど、圧巻のこの水槽には、息を飲んだ。
「二宮さん。このジンベエザメどのくらいあるか知ってますか?」
「え~?どの位なんだろうなぁ~...(^^;」
「全長8.6mもあるんです。
魚では、世界最大です。後...それ!!そのナンヨウマンタは、世界で初めて繁殖に成功したんです!」
「へ~...そうなんだ...」
「この巨大アクリルパネルは、厚さ60cmもあるんですよね~...水圧に耐えるためです。
あっ、ちなみにこのアクリルパネル...日本製です!!
世界の大きな水族館の、大きなアクリルパネル...ほとんどが、日本製なんです!
香川県の日プラさんの製品です。」
「...何だか、ZERO、見てるみたいなんですけど」
「あっ、分かった~?」
俺たちは、しばし、海洋に神秘と向き合いながら、優雅に泳ぐ魚たちに魅せられていた。
その後も、広い水族館の中で、数か所撮影し、終わったときは、もう、夕暮れだった。
俺たちは、急いで、今日最後の撮影場所、
『古宇利島』へ移動した。
大急ぎで降り立った砂浜からは、奇跡的に、水平線に沈み始めた夕陽が、俺たちを照らしていた。